てんかんとは

てんかんとは

てんかんは慢性の脳の病気で、大脳の神経細胞が過剰に興奮するために、脳の症状(発作)が反復性(2回以上)におこるものです。
てんかんは頻度の高い病気で、100人に1人にみられます。新生児から高齢者までどの年齢でも起こります。つまり実は誰でもなりうる病気なのです。

てんかんの原因は

てんかんの原因には、生まれた時の仮死、脳炎などの感染症、頭部外傷、脳卒中などの明らかな脳の障害がある場合(症候性)と明らかな脳障害もないのに起こる場合(特発性)があり、様々な原因で起こります。
てんかんの発症原因は年齢とともに変わってきます。

  • 幼児、小児では特発性(原因不明)が多く、この場合には普通の元気なお子さんがある日突然熱も無いのにけいれんなどの発作をおこします。
  • 年をとるにつれて症候性(特に脳血管障害)が増えてきます。高齢者のてんかんでは、けいれん以外にボーとしたりするだけの発作症状も多いので、認知症とまちがえられて放置されていることがしばしばあります。

てんかんの症状は

てんかん発作の症状は様々で、一目でてんかんとはわからないことがあります。特にこどものてんかんでは発作の症状は多彩です。

てんかんというと泡を吹いて倒れる?そればかりではありません。

  • ぼーっとして人の話を聞いていないように見える
  • ぼーっとして口をもぐもぐさせたり、手をもじもじさせたりする
  • 顔や身体の一部がぴくついている
  • 肩をゆらす
  • びくんとして持っている物を落とす
  • こくんこくんとうなずくことを繰り返す
  • 夜中に寝ぼけているように動き回る
  • 夜中に突然嘔吐を繰り返す

これらはいずれもがてんかん発作症状である可能性があります。

発作の症状は発作が始まる脳の部位によって様々で、いくつかの発作のタイプ(発作型といいます)にわかれます。 人によって発作型は様々ですが、同じ人では同じような症状の発作が繰り返し見られます。
一方でチック、夜驚症、心因発作などてんかん発作と間違えてしまう発作症状もあります。

てんかんの診断は

  • その症状がてんかんによるものか、てんかんではないのかを診断します。
  • 次に発作型診断を行います。

診断には発作の症状をよく聞くこと(病歴聴取)が大事です。
脳波検査も診断の決め手になります。起きている時の脳波、寝た時の脳波、光刺激をしたり、大きい呼吸をしながらの脳波も必要ですし、発作の時にしか異常のでない人もいますので、場合によっては発作の時の脳波をねらう必要もあります。
てんかんの原因を調べるための検査も必要です。これには、脳の構造上の異常を調べるMRIなどの画像検査や血液検査があります。

てんかん発作型とてんかんの分類

発作型は大脳の一部から発作がはじまる部分発作と、初めから脳全体が巻き込まれる全般発作に分かれます。部分発作がみられるてんかんを局在関連性てんかん(部分てんかん)、全般発作がみられるてんかんを全般てんかんと呼びます。

発作型の分類

  • 部分発作

    単純部分発作(発作の最中に意識が保たれる。運動の症状や感覚の症状があります)
    複雑部分発作(発作中に意識混濁がみられる)
    二次性全般化発作(部分発作が全身のけいれんに至る)

  • 全般発作

    強直間代発作(全身を硬くしてから手足をガクガクさせる)
    強直発作(全身を硬くする)
    欠神発作(姿勢が保たれたまま数秒間意識消失する)
    ミオクロニー発作(全身を一瞬ピクッとさせる)
    脱力発作(全身の力が抜ける)
    など

発作型の診断が重要なのは、治療のところで述べますが、抗てんかん薬は基本的に発作型によって選択するからです。

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