てんかんの治療は

てんかんの治療は

てんかんの治療には抗てんかん薬治療、てんかん外科治療、食事療法、ホルモン療法などの特殊療法があります。

一般的には、抗てんかん薬を内服する抗てんかん薬治療を行います。抗てんかん薬は神経細胞の過剰な活動を抑え発作を起こりにくくします。まず薬を規則正しく内服することにより、発作が起こりにくい状態がもたらされ、そのような安定した状態が数年以上(通常3年)続くと、薬なしで神経細胞の過剰な活動が起こらなくなることが期待でき、薬をやめることができます。

治療中には発作回数や発作の様子の変化を調べ、脳波を定期的にとって脳波上の効果も見ます。
また、定期的に血液の中の薬の濃度(血中濃度)や副作用のチェックのための血液検査、尿検査などを行うことが大切です。

抗てんかん薬治療では、正しいてんかんの診断と発作型診断に基づいて適切な第一選択薬(最初に選ぶべき薬)を選択することが重要です。
例えば、同じ様にぼーっとする発作でも、部分てんかんにみられる複雑部分発作なのか、全般てんかんにみられる欠神発作なのかで第一選択薬は異なります。

例えば前者に第一選択される薬の中には、後者には効かなかったり、逆効果で悪化させる薬もあります。
まちがった診断をすると治りやすい良性てんかんも治りにくくなりますし、一方ではてんかんでもないのに抗てんかん薬を長期内服する結果を招きます。
逆に長年てんかん発作であることがわからずに、心臓の症状、精神症状や心理的問題、さらに更年期の症状などと間違われて、循環器内科、精神科、婦人科等を転々としてしまうこともあります。

てんかんの治療がうまくいかない時

きちんとした診断・治療が行われても発作が止まらない方は、治療の再検討が必要です。入院検査・治療が必要なこともあります。ぜひ一度外来でご相談ください。

  • 外科治療の適応を調べる検査(詳しくは外科手術の項目をご参照ください)が必要なことがあります。
  • 抗てんかん薬治療の見直し(正しい診断に基づいて、適切な薬が適切な量使用されているかなどを再検討します)。
  • ケトン食療法(食事療法の一種)やホルモン療法などの特殊治療の検討。

てんかん患者さんの困りごと

てんかんの方には発作以外に色々な困りごとが合併することがあります。
例えば注意が続かない、ぼーっとしやすいなどの症状が見られた場合にも、原因は以下のように色々考えられます。

  • 元々のてんかんの原因となっている病気によるもの
  • てんかんの症状を起こす様な神経の機能障害によるもの
  • てんかん発作そのものの症状である場合
  • 発作は無くても激しい脳波異常による場合
  • 抗てんかん薬の副作用である場合
  • てんかんについて周囲から偏見の目で見られることに対する抑うつ症状

患者さんの中には薬の副作用を疑って薬を勝手にやめたりする人がいますが、てんかんそのものによるのであれば、むしろきちんと薬を飲む事が必要になります。

このように、治療中に問題があっても、その原因や対処の方法については、様々な面から十分検討する必要があります。自己判断に頼らずに、遠慮せずに医師に相談してください。

その他の困りごととして、発達の遅れや運動機能の障害、行動面の問題、精神面の問題など色々な問題を合併している方もおられます。学校、会社、社会での問題、妊娠・分娩・育児の問題に遭遇することもあります。
発作だけでなく、このような合併症・問題点についてもきちんと対応することが大事です。まずは主治医にご相談されるのがよいでしょう。個別の問題についてはさらに専門的な診療が必要なこともあります。

運転免許について

てんかんの方の関係した痛ましい事故の報道が最近時々見られます。確かに発作がまだ止まってない人は決して運転をしてはいけません。人を傷つけたり、命を奪うと取り返しがつきません。また、ご自分の人生も台無しにします。
一方で、てんかん発作があった人でも一定期間以上発作が止まっている場合などの条件を満たし、医師の診断をうければ、運転は法律で許されています。
勝手に自己判断せずにぜひ主治医にご相談ください。
運転免許相談窓口のご案内

最後に

てんかんは慢性の病気ですので、じっくり治療に取り組まなければなりません。治療が長くかかるというとがっかりされるかもしれませんが、てんかんが治りやすいこどものうちや病気が始まってから早いうちに治してしまう方が安心です。
治療は患者さんと医療者の協働作業です。お互いの信頼関係・コミュニケーションを確立し、患者さんご自身がよく自覚して治療に取り組むこと、特に規則正しく薬を飲み続けることが大事です。また、睡眠不足などの発作の誘因を避けることも忘れないでください。

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