外科手術が可能なてんかんはまだ少数ですが、なかには内科的治療より外科治療が適した方もいます。
てんかん外科とは大きく分けて二種類あります。
1)の場合は図に示す様に、MRIなどで画像に異常のある部位、普段の脳波で異常のある部位、発作が始まる部位などがすべて一致していて、しかもその場所が普段話したり、字を書いたり、聞いたり見たりするのに使っていない場所であることが必要です。一番最適なのは内側側頭葉てんかんというてんかんで、それ以外でも条件があえば手術可能な場合もあります。
2)は発作の焦点が例えば右脳に偏っている場合、大脳半球を離断してしまうことで、残った正常な左側の脳が異常な部位の働きをカバーするという考えに基づく方法で、主として左右の脳機能が未だはっきりとわかれていない乳児に行われる特殊な手術です。当てんかんセンターでは脳神経外科と小児神経科が密接に連携しているの で、2)の手術の適応がある時には、乳児期から積極的に行っていま す。
また左右の脳をつないでいる脳梁という橋のような部分を切断して発作が全体に広がらないようにする手術もあります。
いずれにしても2)の場合は根治を求めるのではなく、発作の軽減を目的とします。
その他迷走神経刺激(VNS)といって、首の左にある迷走神経に手術により電極を巻きつけて電気刺激を送り、発作回数を減らしたり、発作の程度を軽くする方法があります。1)、2)ができない患者さんでも適応がある場合があります。
岡山大学病院てんかんセンターではまず手術適応の有無を調べることから始まり、どのような手術ができるか、切除手術の場合はどこを切るかまで全てを小児神経科と脳神経外科を中心としたチームで検討し、最終的には合同カンファレンスで決定しています。